このような症状がある方は
お読みください
- 昔よりも食欲が減って、食べる量も減った
- 食べすぎたつもりがないのに胃がもたれてしまう
- 夜中寝ているときに胃がムカムカして目が覚めてしまう
- 胃がパンパンに張ってるような膨満感が続いている
- 胃の中にガスが溜まっているような感じがする
- なんだか胸やけがする
胃もたれとは
胃もたれは日常生活に比較的身近な胃の症状です。特に20代後半以降の男女に見られますが、最近ではストレスの影響か、10代〜20代でも胃もたれを経験する方が増えてきました。
食べ物の消化が遅く、胃に”なにか残っている”感じがして不快な気分になる症状を、総称して「胃もたれ」と診断しています。
胃の張り・膨満感・
お腹が苦しいと感じたら
胃もたれの症状で来院される患者さまの多くは「前日の食事がまだ消化されていない気がする」と感じたり、お腹いっぱい食べたわけでもないのに「胃がパンパンになり重たくて苦しい」と感じたり、ひどい場合は吐き気がくることもあります。
自分の「食べたもの」「生活習慣」
「気分の状態」をチェック
胃の調子がすぐれないと感じたら、まず「胃もたれ」を疑います。
中にはもっと重篤な病気が隠れていることもあるため、病院では胃もたれすることと、自分の症状はこんな感じ(胃の状態・発症した時間・食欲があるかどうか)といった具体的な状態まで話していただくと、より正確な診断ができます。
胃もたれの原因
胃もたれになる原因は大きく4つありますが、大体は生活習慣や食事によって引き起こされるケースが多いです。
暴飲暴食
揚げ物やお肉などの脂っこい料理は、基本的に消化スピードが遅く、胃に負担をかけてしまいます。
また、寝る前に食事をしたり、同じものをずっと食べ続けていたりすると、次第に胃もたれが起こりやすい体になっていきます。「消化の悪い食生活」を続け胃に負担をかけすぎてしまうと、どんどん消化が悪くなっていきます。
その結果、食欲が減退したり、美味しいものを見ても吐き気がしたりと、脳が食事に対して「ストップ」をかけてしまいます。
ストレス
ストレスの影響により、自律神経系のバランスが崩れることで、胃の働きが悪くなります。
胃の働きが低下すると、食べ物を消化する力が減り、腸に届けるための蠕動運動が弱くなります。
特に現代社会において、勉強・仕事・育児・対人関係などのストレスが溢れている中で過ごしていると、脳が勝手にストレスを感じ取って「ストレスホルモン」の分泌を促進させるようになります。
イライラした生活を過ごすと
「胃もたれ」が起きる?
この「ストレスホルモン」ですが、胃などの上部消化器の働きを抑え、逆に大腸などの下部消化器の働きを強めてしまう傾向にあります。
その結果、胃では「胃もたれ」が、腸では「下痢」や「便秘」が生じます。
さらに、ストレスの影響により自律神経のバランスに乱れが生じはじめ、食欲がなくなったり気分が落ち込みやすくなったりと、精神的な症状が重なってくることもあるため、注意が必要です。
加齢
胃もたれは高齢であればあるほど起こりやすいです。「最近胃もたれすることが増えた」「歳をとってから油ものがダメになった」なんて方も多いのではないでしょうか。
「10代の頃はたくさん食べられたのに」
あたりまえが変化する
年齢が高くなるほど胃の働きが低下し、胃の消化能力や蠕動運動が落ちる傾向にあります。
特に女性の場合、更年期によるエストロゲンの分泌低下に伴って、自律神経に乱れが生じ、胃が弱くなっていきます。
消化器疾患
詳しくは後述しますが、何らかの消化器疾患に罹患していることで、胃もたれが引き起こされている可能性があります。
胃もたれに関連する疾患
- 胃がん
- ヘリコバクター・ピロリ感染
- 機能性ディスペプシア
- 慢性胃炎(症候性胃炎)
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
胃もたれが慢性的の場合は
「胃がん」かも?
これらの疾患の中でも、最も気を付けなければならないのが「胃がん」です。
胃がんは、今でもがん疾患の中でも最も罹患者数が多いのです。胃がんが進行すると「胃の動きが低下する」「ダムのように食物の通過をせき止める」などの影響が出てきます。
そうなると胃がんで「胃もたれ」が引き起こされます。「胃もたれ」は「進行した胃がん」の症状です。
早期の胃がんではほとんど症状は現れません。
ヘリコバクターピロリ菌に要注意
次に大切なのが、ヘリコバクター・ピロリ感染でしょう。
感染が証明された場合は除菌を行いますが、除菌後に「胃もたれ」などの症状が改善する患者さまもいらっしゃいます。
もちろんピロリ菌は胃がんの原因にもなります。
最近多い症例は
「機能性ディスペプシア」
最近、最も注目が集まっているのが「機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)」です。
症状の原因となる胃潰瘍や胃がんなどの病気がないのにもかかわらず「胃もたれ」などの上腹部の不快な症状がおこる病気です。
機能性ディスペプシアでは内臓の知覚過敏や、胃の排泄能力の低下(ポンプ作用の低下)、胃の適性弛緩障害(ご飯を食べても胃が広がらない)などが起こっていると考えられています。
胃もたれと内視鏡検査
鎮静剤を使用し、苦痛に配慮した内視鏡検査上記にもあるように、胃もたれが起こる原因として、何らかの疾患が潜んでいる可能性も考えられます。症状が継続しているにも関わらず、「ただの胃もたれだから・・・」と軽視することは大変危険です。
「胃もたれ」の裏に危険な病気が
迫っていることも多い
生活習慣を見直しても症状の改善が見られない場合には、胃もたれの背景に心配な病気が潜んでいないかを必ず確認する必要があります。
「胃もたれ」が続くときには内視鏡専門医による内視鏡検査(胃カメラ)を受けるようにしましょう。
胃もたれの治療
胃もたれの症状がひどくなって慢性化してしまう前に、まずは「食事」「運動」「睡眠」の3つを改善していきましょう。
食事について
食生活の見直しを行います。食事を摂る際には1口ずつゆっくり噛んで、ゆっくり食べることを心がけることで、消化作用のある唾液が胃の働きをサポートしてくれます。
同時に食べ過ぎも防ぐことが出来るので、胃の負担がグッと減ります。
また、睡眠時は活動時より消化器官の機能が落ちるため、寝る3時間前までの食事を心がけると良いでしょう。
運動について
次に、日頃しっかり運動して運動不足を解消できているかを見直します。
運動不足の体は消化器官にも影響を及ぼし、胃の機能を低下させることが多いため、胃もたれを起こしやすくしてしまいます。軽い運動をすることによって内臓の機能を回復させると同時にストレス解消にも繋がりやすいので、普段から体を動かす癖をつけましょう。
睡眠について
そして睡眠。適正な睡眠時間を取らずに寝不足が続くと、自律神経の乱れにより消化機能が低下します。
その結果、食欲がない・胃がムカムカする・胃が苦しいなどの症状を引き起こすことがあります。
最低でも6〜7時間は睡眠をとりましょう。
それでも胃もたれが続く場合は
早めの来院を
生活習慣を見直してもなかなか胃もたれが改善されない場合は、早めに病院で「内視鏡検査」を受けることをおすすめします。
内視鏡検査を行うことによって、胃がんや胃潰瘍などの重篤な病気が潜んでいても、早期発見に繋がるケースが多いため、重症化せずに済むことも多いとされています。
特に胃がんの場合は発見のタイミングが肝心です。検査後の薬物治療をどれだけ早いうちに行うことが出来るかによって、回復が見込めるかどうかも変わります。
そのまま放っておくと、気がついたら腫瘍が大きくなって、最悪全身に転移してしまうことも。
「胃もたれなんてよくあるから」と放っておくのは一番危険な行為だと知りましょう。
また、市販の胃薬で一時的に胃もたれが治まることもあります。最近では優れた市販薬が販売されていることから、「胃が楽になった」と安心してしまいがち。
安易な胃薬の服薬は、胃がんの早期発見を遅らせてしまう原因に繋がりやすいので、注意しましょう。
場合によっては、「腹部エコー」で膵臓や胆嚢などの内蔵をチェックすることもあります。
そうして、患者さま一人ひとりに合ったお薬の提供によって、的確な症状緩和措置が施されます。