消化器内科と心療内科の
診察基準

① 消化器内科と心療内科は
実は似ています

「なんだかお腹の調子が悪い…」「胃が痛む…」そんな症状を感じた時、あなたはどの診療科を受診すべきか迷ったことはありませんか? 消化器の症状が出た場合、多くの人は消化器内科を受診しようと考えるでしょう。 しかし、実は消化器内科と心療内科は密接な関係を持っているため、症状によっては心療内科の受診も検討する必要があるかもしれません。

その鍵となるのが**「自律神経」**です。 自律神経は、呼吸や消化、循環など、私たちの生命活動を維持するために重要な役割を担っています。 そして、この自律神経は、 ストレスや不安、緊張といった心の状態に大きく影響を受けます。

心が病んでしまうと、自律神経のバランスが崩れ、消化器の働きにも悪影響を及ぼします。 つまり、消化器の病気だと思っていても、実は心の疲れが原因となっている場合があるのです。 そのような場合は、消化器内科ではなく、心療内科やカウンセリングを通して心の不調を解決することが重要になります。

② 混同しやすい症状:胃痛を例に

混同しやすい症状:胃痛を例に消化器内科と心療内科で混同しやすい症状として、**「胃痛」を例に挙げましょう。 胃痛の原因は様々ですが、大きく分けて「器質的疾患」と「機能性疾患」**の2つに分類されます。

器質的疾患

胃潰瘍や胃がんなど、内視鏡検査で確認できる明らかな病変がある場合

機能性疾患

内視鏡検査では異常が見られないにもかかわらず、胃痛などの症状がある場合

機能性疾患の代表例

機能性疾患の代表例としては、機能性ディスペプシア過敏性腸症候群などが挙げられます。 これらの疾患は、ストレスや不安などの心理的要因が大きく関与していると考えられています。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、胃の痛みや膨満感、胸やけ、吐き気などの症状が現れますが、内視鏡検査では異常が見つからない状態です。 ストレスや不安、生活習慣の乱れなどが原因として考えられています。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腹痛や下痢、便秘などの症状が繰り返し起こる病気です。こちらも、内視鏡検査などでは異常が見つかりません。 ストレスや不安、食事内容、腸内環境などが原因として考えられており、症状の出現には心理的要因が大きく影響します。

このように、胃痛ひとつとっても、その原因は身体的なものだけでなく、心的なものも考えられるのです。

③ 受診基準の判断:
消化器内科?心療内科?

では、消化器内科と心療内科、どちらを受診すべきか、どのように判断すれば良いのでしょうか?
以下の点を参考に考えてみましょう。

症状の持続期間

症状が短期間であれば、様子を見ても良いかもしれません。しかし、長期間に続く場合や日常生活に支障をきたすほど辛い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

症状の特徴

症状が食後に悪化する、特定の食品で症状が出るなど、消化器疾患を疑わせる特徴があれば、消化器内科を受診しましょう。一方、ストレスを感じると症状が悪化する、不安や緊張が強いなど、心的な要因が疑われる場合は、心療内科の受診も検討しましょう。

既往歴

過去に消化器疾患や精神疾患を患ったことがある場合は、その影響も考慮する必要があります。

迷った場合は、まずは消化器内科を受診し、医師に相談してみましょう。 必要があれば、心療内科への紹介状を書いてもらうこともできます。
大切なのは、自己判断せず、専門家の意見を仰ぐことです。 自分の身体と心の状態を理解し、適切な医療機関を受診することで、健康な生活を取り戻しましょう。

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