便秘

このような症状がある方は
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便秘とは

便秘とは、3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態とされます。排便回数は普通でも、便が硬くて排便時に力みが必要な場合や排便後にも残便感がある場合も便秘とされています。
老若男女問わず起こり、また便秘が慢性化している人も少なくないのでついつい放っておきやすい症状です。
しかし便秘の症状が深刻化すると腸内のメカニズムに不調を招き、様々な二次的症状を引き起こすため早めの対策が必要です。

便秘の原因

便秘の原因は、人によって異なり、機能性便秘3種類と器質性便秘の計4種類に分けられます。

運動不足や無理なダイエットが原因の弛緩性便秘

腸管の緊張がゆるんでしまい、ぜん動運動が十分行われなくなって大腸内に便が長く留まるタイプの便秘です。
腸内に残った便は水分を吸収し、硬くなって排便時の痛みの原因になります。便秘の中でも頻度が高く、女性や高齢者に多いのが特徴です。その他の症状としておなかが張る、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラなどが現れます。

ストレスなどが原因のけいれん性便秘

ストレスなどが原因のけいれん性便秘ウサギのフンのようなコロコロとした便が特徴の便秘です。精神的ストレス、環境の変化、過敏性腸症候群などが誘因になります。
食後に下腹部痛、残便感などの症状が見られることもあります。
また便秘と下痢を交互にくり返すことも多く、誘因の除去がポイントになる便秘です。

高齢者に多い直腸性便秘

便が直腸に達しても排便反射が起こらず、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなる便秘です。
高齢者や寝たきりの人のほか、痔や恥ずかしさなどにより排便を我慢する習慣がある人に多いです。

下剤の使用NGの器質性便秘

イレウス、大腸がん、腸管癒着などの器質的な原因があって、腸内で通過障害が起こる便秘です。
このような便秘でる場合は、腸管穿孔を起こす可能性があるので、下剤を使用してはいけません。

便秘に関連する疾患

排便時の力みが原因の「痔」

排便時の力みが原因の「痔」排便時に過度に力むと、肛門周囲の静脈にかかる圧力が上昇し、痔になったり、まれに直腸脱といって直腸が肛門の外に突き出ることがあります。
痔ができる排便がおっくうになり、排便したくなくなることがあります。
そのように排便を遅らせると、便秘の悪化と合併症の悪循環に陥る可能性があります。

手術が必要なケースもある
「大腸憩室症」

大腸憩室症は大腸壁に5~10㎜の袋状のへこみ(憩室=けいしつ)ができた状態を指します。大きなものでは開口部が2㎝を超えることもあります。
通常は無症状ですが、憩室部の血管が破れて出血を起こしたり、憩室内に細菌が感染して起こる大腸憩室炎といった疾患を合併することがあります。重症例の治療ではまず内視鏡的止血術が試みられます。
内視鏡的止血術が不向きまたは不成功の場合、動脈塞栓術が行われます。それでも成功しない場合、大腸切除術が行われることになります。

高齢者に多い「宿便」

宿便とは、便が直腸と大腸の最後の部分で硬くなり、他の便の排泄を完全に妨げる状態です。宿便が起きると、けいれんや直腸の痛みが生じ、排便しようとして力んでも便が出なくなってしまいます。
ときに水っぽい粘液や液状の便が閉塞部の周囲からにじみ出るため、誤って下痢と感じることがあります。
宿便は活動量の低い高齢者や妊婦、ある種のX線検査でバリウムを飲んだり浣腸したりした人で特に多くみられます。

便秘の検査

便秘の検査まずは医師による診察を行い、便の性状や生活習慣、腹痛の有無などを確認します。その後、腹部レントゲンで腸内のガスや弁の溜まり具合を調べたり、大腸内視鏡検査で大腸がんなどの器質的疾患の有無を精査したりします。
内視鏡検査やレントゲンでは腸のねじれなどがないか観察し、検査結果に応じた治療をすすめていきます。

大腸カメラ検査について

便秘の治療法

便秘の治療は、食物繊維や水分を十分にとるなど、食生活の改善が基本になります。
加えて、適度な運動や排便の習慣づけ、ストレスの発散も心がけるとよいでしょう。

食事のリズムを整える

朝昼晩3食をしっかりとることが大切です。とくに朝食は毎日必ずとりましょう。
朝食は便意を促すきっかけとなりますので、必ず毎日食べましょう。

食物繊維や水分を十分にとる

食物繊維や水分を十分にとる食物繊維は腸のぜん動運動を高め、便を排出しやすくします。
穀物、いも類や豆類、ひじき、寒天、果物など、食物繊維を多く含む食品を十分にとるようにしましょう。
また水分が不足すると便が硬くなって移動しづらくなります。水分を含んだ便は、便のかさが増えて腸に刺激を与え、便意を起こしてくれる効果があります。朝起きて、一杯の冷たい水か牛乳を飲むとその日一日の排便が促されます。

適度な運動をする

運動不足は、便秘の大きな原因になります。特に体力や筋力の低下が原因となる弛緩性便秘の場合は、腹筋などの運動は便を自力で押し出す力を高めるので効果的です。
運動が苦手な場合も、おなかのマッサージを習慣にすることで腸を刺激し、排便を促す効果が期待できます。

それでも便秘が続く場合は
早めの来院を

それでも便秘が続く場合は早めの来院を刺激性下剤や浸透圧性下剤は薬局で市販されているものも多く、また、病院からもよく処方される薬です。刺激性下剤は効果が高いですが、依存性も高く慢性的に使用すると徐々に効かなくなることがあります。
便秘には便秘の種類に応じた適切な薬の選択が必要です。
消化器専門の医院では薬の選択だけでなく、従来の作用機序と異なる新しい薬を用意することも可能です。
このような薬は従来の薬よりも耐性ができにくいのが特徴です。便秘が慢性化しており、合併症のある方、既存の治療で症状改善しない方は一度来院をご検討ください。

著者

おだぎ内視鏡・消化器内科 
院長 小田木勲

資格

略歴

 
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