萎縮性胃炎

萎縮性胃炎とは

萎縮性胃炎は、長年にわたって胃の粘膜に炎症が起こること(慢性胃炎)で、胃液や胃酸などを分泌する組織が縮小し、胃の粘膜が萎縮した状態です。
内視鏡検査(胃カメラ)では、胃の粘膜が薄くなり血管が透けて見えている状態です。
組織学的には胃の固有腺が減少・消失した状態のことを指します。
胃の萎縮が進行すると「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい:胃の粘膜が腸の粘膜のような状態になること)」が起こることがあり、これの一部が胃がん化するとの報告がなされています。

萎縮性胃炎の原因

萎縮性胃炎の原因大きくはピロリ菌(H.pylori)による慢性胃炎(B型胃炎)と、自己免疫機序による慢性胃炎(A型胃炎)に分けられます。
ピロリ菌の感染などが原因で慢性胃炎になり、それが長期化すると、胃の粘膜が委縮して「萎縮性胃炎」という状態になります。
さらに胃の粘膜の萎縮が進行すると、大腸や小腸の粘膜に似た状態となり、「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」が起こる場合があります。
そして腸上皮化生の一部ががん化して、胃がんを発症させると考えられています。
また萎縮性胃炎は胃がんの発生母地となりますので注意が必要です。

萎縮性胃炎の症状

萎縮性胃炎の症状半数近くの人は無症状ですが、胃液が十分に分泌されないため、食べ物が消化されにくく、食欲不振や、胃もたれの症状があらわれることがあります。
その他の症状としては、上腹部痛、上腹部不快感、悪心・嘔吐、胃痛、胃がむかつく、胸焼け、吐き気、腹部の張り、などが挙げられます。

萎縮性胃炎の検査方法

萎縮性胃炎に対しては、内視鏡検査(胃カメラ)を実施して、胃の粘膜の状態を詳しく確認します。
萎縮がほとんどない人と萎縮が強い人では胃がんの発生率が違うので、そのリスクを判断することも出来ます。
(バリウム検査では萎縮の程度は分からないので注意が必要です) きちんと検査を受けて、早い段階で治療しておくことが重要となります。


萎縮性胃炎の治療法

ピロリ菌(H.pylori)の感染をチェックし、現行感染状態ならば除菌療法を行います。


ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌を除菌するために、除菌剤や胃の炎症を抑制するお薬などを服用します。1日2回の服用を1週間継続します。
なお、内視鏡を使ったピロリ菌検査により、慢性胃炎と診断された場合には、2回まで保険適用で除菌治療が受けられます。

薬物療法

薬物療法患者さまの症状に応じて、胃酸の分泌を抑えるお薬や、胃の粘膜を保護するお薬などを処方します。
市販薬で改善する方もおられるかと思いますが、胃がんなどでも同じような症状が現れるため、きちんと病院で検査・治療を受けられることをおすすめします。
除菌後の患者さまや、既感染(自然除菌)の方は1年毎の内視鏡検査(胃カメラ)を行い、胃がんの早期発見に務めることをおすすめしています。

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